衣類のトラブル

穴あき・毛抜け

穴あきには、刃物などによる「切断」、高温での「焼け」、摩れなどの「摩擦」、害虫による「食害」、薬品(化粧品含む)なのど「溶け」などがあります。それぞれ、異なる穴の特徴がありますので、良く観察する必要があります。特に被害の拡大を早急に防ぐ必要があるものは「食害」と「溶け」です。

穴あき(虫食い)

◆原因◆
繊維が消失(繊維が繋がらない穴)したり、起毛の消失(果実の桃のような表面)の場合、多くはヒメカツオブシムシと呼ばれる衣類を食害する害虫によるものと思われます。

◆発生場所◆
室内でしまっている間が主だが、車のトランク内でも発見された例があります。

◆素材◆
タンパク質の動物性繊維(羊毛・絹・毛皮等)但し、タンパク質の食べこぼしなどが付着しているとポリエステルも食べます。

◆お手入れ◆
着用後は衣類全体をブラッシングして、付着している可能性のある害虫の卵を落とし、防虫剤を使用します。

穴あき(その他)

◆薬品(除光液)◆
アセテート繊維を溶かし、軽度の場合はシミの様に硬くなったり、溶けた様な形にも見えますが酷くなると割れた様な状態や穴があいた状態にもなります。

◆薬品(トイレ用洗剤)◆
全てのトイレ洗剤でなる訳ではありませんが、成分に「塩素」が含まれているものは「強酸」と言われるもので、植物系の繊維に付着すると、穴があく場合があります。軽度の場合でも繊維を溶かしますので、シミの様にに見える場合があります。

◆薬品(バッテリー液)◆
液自体が「希硫酸」という強酸です。衣類に付着したものを放置していると穴があく場合があります。又、洗濯を行ってもしっかり除去できていない場合(ドライクリーニングでは除去できません)は、乾燥等の加熱処理で穴があきます。

◆着用疲労◆
俗に言う「磨れ」は、生地を磨耗させた結果起きる状態で、酷くなると穴あきまでにいたります。

◆焼け(タバコ、ロウソク、花火、火祭り)◆
タバコの火は600℃~900℃、ロウソクは1400℃、線香花火は370℃、吹き出し花火は1100℃大変高い温度です。よく使用される生地のポリエステルが溶ける温度が約260℃なので、上記の火が付いた時点で穴あきが発生する事となります。火種が直接付いた記憶や感覚があれば分かりますが、他人から付けられる可能性も高いのがこの焼けです。座っている肩越しにタバコを持った人が通り過ぎたとき肩先に小さな穴があく場合もあります。又、穴あきまでいかないにしても、礼装ワンピースの裾に下から10cm以上の筋が数本付いたというローソクの火による被害の話しも聞いた事があります。普段着は中々出来ないかもしれませんが、大事にしている洋服の着用後はすぐ点検を行うことで、原因の追究が容易になると思います。

※シミ:付着物の中には、上記に上げた薬品や摩擦以外にも、食べこぼしのシミが固まりそこに力が加わる事によって割れて穴があく場合があります。又、薬品での紹介では酸の話が出ましたが、アルカリ液体も熱を加える事によって、穴あきする場合があるので早めの洗濯が必要です。



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